手続き2025.03.05最終更新: 2025.03.05

相続が発生し、相続人の確定と遺産の把握が終わったら、次に行うのが遺産分割協議です。相続人全員で「誰がどの財産を受け継ぐか」を話し合い、その合意内容を書面にまとめたものが「遺産分割協議書」です。この書類は、不動産の名義変更や預金の解約など、さまざまな相続手続きで必要となります。この記事では、遺産分割協議書の作成方法と注意すべきポイントを詳しく解説します。

遺産分割協議書とは何か

遺産分割協議書は、相続人全員の合意に基づき、遺産の分け方を記載した文書です。法律上、特定の書式が定められているわけではありませんが、法務局や金融機関に提出するためには、一定の要件を満たす必要があります。

遺言書が存在し、遺言の内容に従って遺産を分ける場合は、原則として遺産分割協議書の作成は不要です。しかし、遺言書がない場合や、遺言書に記載されていない財産がある場合、相続人全員の合意で遺言と異なる分割を行う場合には、遺産分割協議書が必要になります。

遺産分割協議書が必要になる場面

遺産分割協議書は、主に以下の手続きで提出を求められます。不動産の相続登記(法務局への申請)、預貯金の解約・名義変更(金融機関)、有価証券の名義変更(証券会社)、自動車の名義変更(陸運局)、相続税の申告(税務署)などです。特に相続登記が義務化された現在、不動産を相続する場合は速やかに協議書を作成する必要があります。

遺産分割協議書に記載すべき事項

遺産分割協議書には、以下の事項を漏れなく記載する必要があります。

被相続人の情報

被相続人の氏名、生年月日、死亡年月日、最後の住所、最後の本籍地を正確に記載します。住所は住民票の除票に記載されている住所と一致させ、本籍地は戸籍謄本に記載されている本籍地と一致させることが重要です。

相続人全員の情報

相続人全員の氏名、住所、生年月日を記載します。住所は印鑑登録証明書に記載されている住所と完全に一致させてください。番地の表記(「1番地1号」か「1-1」か)なども統一する必要があります。

遺産の内容と分割方法

遺産の内容は、財産の種類ごとに特定できるよう、具体的に記載します。不動産の場合は、登記事項証明書に記載されている所在地、地番、地目、地積(土地の場合)、または所在地、家屋番号、種類、構造、床面積(建物の場合)を正確に転記します。預貯金の場合は、金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号を記載します。「○○銀行の預金すべて」といった曖昧な表現は避けましょう。

遺産分割協議書の書き方のポイント

タイトルと前文

書類のタイトルは「遺産分割協議書」とします。前文には、被相続人が亡くなったこと、相続人全員で遺産分割協議を行い合意に至ったことを記載します。例えば「被相続人○○(令和○年○月○日死亡)の遺産について、共同相続人全員で協議を行い、次のとおり遺産を分割することに合意した。」のような文言を用います。

各財産の帰属先を明確にする

「次の不動産は、相続人○○○○が取得する。」のように、どの財産を誰が取得するかを明確に記載します。代償分割(特定の相続人が財産を取得する代わりに、他の相続人に代償金を支払う方法)の場合は、代償金の金額と支払期限も記載します。

後日判明した財産の取り扱い

協議書作成時に把握していなかった財産が後から見つかることもあります。その場合に備えて、「本協議書に記載のない遺産が判明した場合は、相続人○○が取得する」または「別途協議する」という条項を入れておくと安心です。

署名と実印の注意点

遺産分割協議書の効力を持たせるためには、署名と実印の押印が非常に重要です。

相続人全員の署名・押印が必須

遺産分割協議書には、相続人全員が自署し、実印で押印する必要があります。一人でも欠けていると、協議書としての効力が認められません。海外在住の相続人がいる場合は、在外公館での署名証明(サイン証明)を取得してもらう必要があります。

印鑑登録証明書の添付

実印の押印とともに、各相続人の印鑑登録証明書を添付します。印鑑登録証明書は、協議書作成時点から3ヶ月以内のものを求められることが一般的です。金融機関によっては6ヶ月以内としているところもありますが、早めに取得しておくのが安全です。

署名は自署が原則

氏名は必ず本人が自署(手書き)してください。パソコンで印字した名前に押印しただけでは、本人の意思確認が不十分と判断され、手続きがスムーズに進まないことがあります。

遺産分割協議書が無効になるケース

せっかく作成した遺産分割協議書でも、以下の場合は無効となる可能性があります。

相続人全員が参加していない場合

遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要です。一人でも参加していない相続人がいる場合、その協議は無効となります。事前に相続人調査を正確に行い、全員を把握しておくことが不可欠です。前婚の子や認知された子がいるケースでは、特に注意が必要です。

意思能力がない相続人が含まれる場合

認知症などで判断能力が著しく低下している相続人がいる場合、その方がした合意は無効となります。この場合は、家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立て、成年後見人が本人に代わって協議に参加する必要があります。

詐欺・強迫による合意の場合

遺産の内容を偽ったり、脅迫によって合意を迫ったりした場合、その協議書は取り消すことができます。相続人間で十分な情報共有を行い、全員が納得したうえで協議を進めることが大切です。

未成年の相続人がいる場合の注意

未成年の相続人がいる場合、親権者が法定代理人として協議に参加します。しかし、親権者自身も相続人である場合は、利益相反となるため、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てる必要があります。

遺産分割協議書の作成を専門家に依頼するメリット

遺産分割協議書は法律文書であり、記載の不備があると手続きが進まなくなることがあります。特に不動産が含まれる場合は、登記事項の記載に正確さが求められます。

当センターでは、戸籍の収集から相続人の確定、遺産分割協議書の作成まで、相続手続き全体をサポートしております。相続税の申告が必要な場合は、提携の税理士と連携して対応いたします。まずはお気軽に無料相談をご利用ください。

免責事項 本記事は2025年3月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。
この記事の監修
株式会社 相続サポートセンター
税理士法人みらいを中心とした「みらいグループ」の一員。東京都西東京市に拠点を置き、相続手続き・遺言書作成支援・遺産整理業務を専門に、年間多数のご相談に対応しています。税理士・行政書士・社労士が連携し、税務・法務・労務をワンストップでサポートします。
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