遺言書2025.02.28最終更新: 2025.02.28

遺言書の作成を検討する際、多くの専門家が推奨するのが「公正証書遺言」です。遺言書にはいくつかの種類がありますが、公正証書遺言は法的な確実性が最も高い方法として知られています。この記事では、公正証書遺言の特徴、具体的な作成手順、必要な費用、そしてメリットとデメリットを詳しく解説します。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の内容を口述し、公証人がそれを文書にまとめて作成する遺言書です。公証人とは、法務大臣に任命された法律の専門家で、公証役場で執務しています。公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が関与して作成されるため、形式不備により無効となるリスクが極めて低いのが最大の特徴です。

作成された遺言書の原本は公証役場に保管されるため、紛失や偽造の心配もありません。自筆証書遺言と異なり、遺言者が全文を手書きする必要がなく、口がきけない方や耳が聞こえない方でも、手話や筆談を通じて作成することが可能です。

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言の作成は、以下の手順で進めます。

手順1:遺言の内容を検討する

まず、遺言で指定したい事項を整理します。主な内容は、財産の分配方法(誰にどの財産を相続させるか)、遺言執行者の指定、祭祀承継者の指定などです。法定相続人の範囲を確認したうえで、遺留分にも配慮した内容にすることが望ましいでしょう。

手順2:必要書類を準備する

公証役場に依頼する際に必要な書類は、遺言者の印鑑登録証明書(3ヶ月以内のもの)、遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本、相続人以外の人に遺贈する場合はその人の住民票、不動産がある場合は登記事項証明書と固定資産税評価証明書、預貯金がある場合は通帳のコピーまたは残高証明書、証人2名の氏名・住所・生年月日・職業がわかる資料です。

手順3:公証人との事前打ち合わせ

公証役場に連絡し、遺言の内容と必要書類について事前に打ち合わせを行います。公証人が遺言の内容を法的に問題のない形に整え、遺言書の案文を作成してくれます。この段階で内容に疑問や修正があれば、公証人と相談しながら調整できます。

手順4:証人2名の手配

公正証書遺言の作成には、証人2名の立ち会いが法律で義務付けられています。証人は遺言の作成に立ち会い、遺言者の本人確認と遺言の内容が遺言者の真意に基づくものであることを確認する重要な役割を担います。

ただし、以下の人は証人にはなれません。未成年者、推定相続人(遺言者が亡くなったときに相続人になる人)、推定相続人の配偶者及び直系血族、受遺者(遺言で財産をもらう人)とその配偶者及び直系血族、公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人です。適切な証人が見つからない場合は、公証役場に相談すれば、証人を紹介してもらうことも可能です(別途費用がかかります)。

手順5:公証役場での作成

遺言者と証人2名が公証役場に出向き、公証人の前で以下の手続きを行います。まず、遺言者が公証人に対して遺言の内容を口述します。公証人がその内容を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせます。遺言者と証人が内容に間違いがないことを確認し、各自が署名・押印します。最後に公証人が署名・押印して完成です。遺言者が病気などで公証役場に出向けない場合は、公証人が自宅や病院に出張して作成することも可能です(出張手数料が加算されます)。

公正証書遺言のメリット

メリット1:検認手続きが不要

自筆証書遺言(法務局保管制度を利用していない場合)は、相続開始後に家庭裁判所での検認手続きが必要です。検認には通常1ヶ月から2ヶ月程度かかり、その間は遺言の内容に基づく手続きを進めることができません。公正証書遺言は検認が不要なため、相続開始後すぐに手続きに取りかかれます。

メリット2:無効になるリスクが極めて低い

公証人が法律に基づいて作成するため、形式不備による無効のリスクがほぼありません。自筆証書遺言では、日付の記載漏れ、署名の不備、訂正方法の誤りなどで無効となるケースが少なくありませんが、公正証書遺言ではこうした心配がありません。

メリット3:紛失・偽造・改ざんの心配がない

原本が公証役場に保管されるため、遺言書が紛失したり、第三者に偽造・改ざんされたりするリスクがありません。遺言者の手元には正本と謄本が渡されますが、仮にこれを失くしても、公証役場で再交付を受けることができます。

メリット4:字が書けなくても作成できる

自筆証書遺言は、遺言者が全文を手書きしなければなりませんが、公正証書遺言は公証人が代わりに筆記するため、高齢で手が震えて字が書けない方、病気やケガで筆記が困難な方でも作成できます。署名ができない場合は、公証人がその旨を付記して代署することも認められています。

公正証書遺言のデメリット

デメリット1:費用がかかる

自筆証書遺言は紙とペンがあれば費用ゼロで作成できますが、公正証書遺言は公証人手数料が必要です。手数料は遺言で指定する財産の価額に応じて決まります(詳細は後述)。

デメリット2:手間と時間がかかる

必要書類の準備、公証人との事前打ち合わせ、証人2名の手配、公証役場への出向など、作成までに複数のステップを踏む必要があります。準備から作成完了まで、通常2週間から1ヶ月程度かかります。

デメリット3:遺言の内容が証人に知られる

証人2名が遺言の内容を聞く立場にあるため、遺言の内容を完全に秘密にすることができません。ただし、証人には守秘義務があり、信頼できる人物(弁護士、司法書士など)を証人に選べば、実務上の問題はほとんどありません。

公証人手数料の目安

公正証書遺言の作成にかかる公証人手数料は、遺言により相続させる財産の価額に応じて以下の表のとおり定められています。

財産の価額が100万円以下の場合は手数料5,000円、100万円超200万円以下は7,000円、200万円超500万円以下は11,000円、500万円超1,000万円以下は17,000円、1,000万円超3,000万円以下は23,000円、3,000万円超5,000万円以下は29,000円、5,000万円超1億円以下は43,000円です。

重要なのは、この手数料は相続人ごとに計算するという点です。たとえば、配偶者に3,000万円、子に2,000万円を相続させる場合、配偶者分が23,000円、子分が23,000円で、合計46,000円となります。さらに、財産の総額が1億円以下の場合は11,000円が加算されます(遺言加算)。このほか、遺言書の正本・謄本の作成費用として1枚250円、公証人が出張する場合は手数料が1.5倍となり、別途日当と交通費がかかります。

公正証書遺言を作成すべきケース

以下のようなケースでは、特に公正証書遺言の作成をおすすめします。

相続財産に不動産が含まれる場合、相続人間でトラブルが予想される場合、高齢で自筆が困難な場合、確実に遺言の内容を実現したい場合、前婚の子や認知した子がいる場合、事業承継を含む複雑な遺言を残したい場合などです。

当センターでは、公正証書遺言の作成サポートを行っております。遺言内容の検討から、必要書類の収集、公証人との打ち合わせの調整、証人の手配まで、トータルでお手伝いいたします。相続手続き全般のご相談と合わせて、ぜひ無料相談をご利用ください。

免責事項 本記事は2025年3月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。
この記事の監修
株式会社 相続サポートセンター
税理士法人みらいを中心とした「みらいグループ」の一員。東京都西東京市に拠点を置き、相続手続き・遺言書作成支援・遺産整理業務を専門に、年間多数のご相談に対応しています。税理士・行政書士・社労士が連携し、税務・法務・労務をワンストップでサポートします。
無料相談はこちら →

相続のことでお悩みですか?

専門スタッフが丁寧にお答えします。

お気軽にお電話ください

無料相談のお申し込み