相続税2025.03.03最終更新: 2025.03.03

相続税の税務調査で最も指摘されやすい項目のひとつが「名義預金」です。家族名義の口座にお金を貯めていたつもりが、税務署から「実質的には被相続人の財産」と判断され、相続税の課税対象に加算されてしまうケースが後を絶ちません。この記事では、名義預金の定義や税務署に指摘されやすいパターン、そして名義預金と認定されないための具体的な対策を解説します。

名義預金とは何か

名義預金とは、口座の名義人と実際にお金を管理・支配している人が異なる預金のことです。たとえば、親が子や孫の名前で口座を開設し、その口座に親のお金を入金して管理している場合、口座の名義は子や孫でも、実質的には親の財産と判断されます。

名義預金は、相続税の計算において被相続人の遺産に含まれるため、申告漏れがあると追徴課税の対象となります。税務調査で指摘された場合、過少申告加算税(10%から15%)や延滞税が課されることもあり、大きな負担につながります。

名義預金が問題になる背景

名義預金は、多くの場合、悪意なく行われています。「将来子どもに渡すつもりで貯めていた」「孫の教育資金として用意していた」など、家族を思う気持ちから生じることがほとんどです。しかし、税務上は「贈与が成立しているかどうか」が厳密に判断されます。正しい手続きを経ていなければ、いくら贈与のつもりであっても、名義預金と認定されてしまうのです。

税務署に指摘されやすいパターン

税務署は、相続税の申告内容と被相続人の過去の収入・資産状況を照合し、名義預金がないかを入念にチェックします。以下のようなパターンは、特に指摘されやすいため注意が必要です。

パターン1:名義人が口座の存在を知らない

子どもや孫の名義で口座を開設していたが、名義人本人がその口座の存在を知らないケースです。贈与は「あげます」「もらいます」という双方の合意(贈与契約)があって初めて成立するため、名義人が知らない口座は贈与が成立していないと判断されます。

パターン2:通帳・印鑑を被相続人が管理していた

口座の名義は家族のものでも、通帳やキャッシュカード、届出印を被相続人が管理していた場合、実質的な支配権は被相続人にあったと判断されます。名義人が自由にお金を引き出せる状態でなければ、贈与が完了したとは認められません。

パターン3:名義人の収入に見合わない残高

専業主婦の配偶者名義の口座に多額の預金がある場合や、まだ幼い孫の口座に高額な残高がある場合は、税務署から注目されます。名義人自身の収入では説明がつかない金額が入っていると、被相続人からの資金であると推定されるためです。

パターン4:毎年同じ金額・同じ時期に入金している

毎年12月に110万円ちょうどを振り込んでいるなど、定額・定期の入金パターンは、「定期贈与」(あらかじめ総額を決めた贈与)と見なされるリスクがあります。この場合、各年の110万円ではなく、合計金額に対して贈与税が課される可能性があります。

名義預金と判断されないための対策

名義預金の指摘を受けないためには、「贈与が確実に成立している」ことを証明できる証拠を残しておくことが重要です。以下に具体的な対策を紹介します。

対策1:贈与契約書を毎年作成する

贈与を行うたびに、書面で贈与契約書を作成しましょう。贈与契約書には、贈与者と受贈者の氏名・住所、贈与の日付、贈与する財産の内容(金額)、贈与の方法(銀行振込など)を記載し、両者が署名・押印します。毎年の贈与ごとに別の契約書を作成することで、各年の贈与が独立した行為であることを示せます。

対策2:口座の管理は名義人本人が行う

贈与した後の口座は、名義人本人が通帳・キャッシュカード・届出印を管理するようにしましょう。名義人が自由にお金を使える状態にしておくことが、贈与の完了を示す重要な証拠となります。実際に名義人がその口座から出金して使用した実績があれば、さらに効果的です。

対策3:銀行振込で記録を残す

贈与の際は、現金手渡しではなく銀行振込で行いましょう。振込記録が残ることで、いつ・誰から・誰に・いくら移動したかが明確になります。贈与者の口座から受贈者の口座に直接振り込むことで、資金の移動が客観的に確認できます。

対策4:110万円の非課税枠を正しく活用する

生前贈与の非課税枠は、受贈者一人あたり年間110万円です。この範囲内であれば贈与税はかかりませんが、前述のとおり、毎年同じ金額を同じ時期に贈与すると定期贈与と見なされるリスクがあります。金額や時期を少しずつ変えたり、あえて110万円を少し超えて贈与税の申告を行ったりすることで、各年の贈与が独立した意思に基づくものであることを示せます。

対策5:贈与税の申告を行う

年間110万円を超える贈与を行った場合は、翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要です。この申告を行うことで、贈与の事実が税務署に記録され、名義預金ではないことの有力な証拠となります。あえて111万円を贈与し、1万円に対する贈与税(1,000円)を納めるという方法も、実務上よく用いられています。

名義預金が見つかった場合の対応

相続が発生した際に名義預金に該当する口座が見つかった場合は、正直に相続財産に含めて相続税の申告を行いましょう。申告漏れが後から発覚するよりも、最初から正しく申告しておくほうが、追徴課税のリスクを避けられます。

既に相続税の申告を済ませた後に名義預金が見つかった場合は、修正申告を行う必要があります。自主的に修正申告を行えば、過少申告加算税が軽減される場合がありますので、早めの対応が重要です。

まとめ

名義預金の問題は、生前の適切な対策によって回避することができます。贈与契約書の作成、口座管理の徹底、振込記録の保存など、正しい手順で贈与を行うことが大切です。

当センターでは、相続手続き全般のサポートに加え、生前の相続対策についてもご相談を承っております。名義預金に心当たりがある方や、正しい贈与の方法を知りたい方は、ぜひ無料相談をご利用ください。

免責事項 本記事は2025年3月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。
この記事の監修
株式会社 相続サポートセンター
税理士法人みらいを中心とした「みらいグループ」の一員。東京都西東京市に拠点を置き、相続手続き・遺言書作成支援・遺産整理業務を専門に、年間多数のご相談に対応しています。税理士・行政書士・社労士が連携し、税務・法務・労務をワンストップでサポートします。
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