相続税2025年2月12日最終更新: 2025.02.12

相続税の負担を軽減するために、生前贈与は非常に有効な手段です。特に年間110万円の非課税枠を活用した暦年贈与は、多くの方が取り組める節税対策として知られています。しかし、2024年の税制改正により生前贈与加算の期間が延長されるなど、制度の変更点も押さえておく必要があります。本記事では、生前贈与を活用した節税方法について詳しく解説します。

暦年贈与の仕組みとは

暦年贈与とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下であれば、贈与税が課税されない仕組みです。この110万円は「基礎控除額」と呼ばれ、贈与を受ける側(受贈者)1人あたりに適用されます。

たとえば、親から子へ毎年110万円ずつ贈与を行った場合、10年間で1,100万円の財産を非課税で移転することができます。複数の子や孫に対して贈与を行えば、さらに多くの財産を効率的に移転可能です。

暦年贈与のポイント

暦年贈与を行う際には、いくつかの重要なポイントがあります。まず、贈与は「あげる側」と「もらう側」の双方の合意が必要です。一方的に銀行口座に振り込むだけでは、税務署から贈与として認められない可能性があります。

また、毎年同じ金額を同じ時期に贈与し続けると、「定期贈与」とみなされるリスクがあります。定期贈与と判断されると、贈与の総額に対して贈与税が課される場合があるため、金額や時期を変えるなどの工夫が大切です。

贈与契約書の重要性

生前贈与を確実に実行するためには、贈与契約書を作成することが極めて重要です。贈与契約書がなければ、税務調査の際に贈与の事実を証明できず、名義預金とみなされる危険性があります。

贈与契約書に記載すべき項目

贈与契約書には、以下の項目を記載しましょう。贈与者と受贈者の氏名・住所、贈与する財産の内容と金額、贈与の日付、そして双方の署名・押印です。金銭の贈与であれば振込記録を残し、不動産であれば登記を行うことで、より確実な証拠となります。

なお、未成年者への贈与の場合は、法定代理人(親権者)が受贈者に代わって契約を締結する必要があります。贈与契約書は公証役場で確定日付を取得しておくと、さらに証明力が高まります。

2024年税制改正|生前贈与加算が7年に延長

2024年1月1日以降の贈与から、相続税の計算における生前贈与加算の対象期間が、従来の3年から7年に段階的に延長されました。この改正は、生前贈与による節税対策に大きな影響を与えています。

改正の具体的な内容

改正前は、被相続人が亡くなる前3年以内に行われた贈与は、相続財産に加算して相続税が計算されていました。改正後は、この加算期間が7年に延長されます。ただし、延長された4年間(4年前から7年前まで)の贈与については、その合計額から100万円を控除できる経過措置が設けられています。

なお、7年への延長は段階的に適用されます。2024年1月1日以降の贈与から順次対象期間が延長され、完全に7年分が加算対象となるのは2031年1月1日以降に発生する相続からです。また、延長された4年分(4年目〜7年目)の贈与については、合計100万円まで加算されない緩和措置があります。

この改正により、早期からの計画的な贈与がより一層重要になりました。相続税の税率を踏まえたうえで、長期的な視点での生前贈与計画を立てることをおすすめします。

相続時精算課税制度の改正

同時に、相続時精算課税制度にも改正がありました。2024年以降、相続時精算課税制度を選択した場合でも、年間110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除内の贈与は、相続時に加算する必要がありません。これにより、相続時精算課税制度の活用の幅が広がっています。

教育資金の一括贈与の特例

30歳未満の子や孫に対して、教育資金として一括で贈与する場合、最大1,500万円まで非課税となる特例があります。この特例は、金融機関に専用口座を開設し、教育資金として使途が確認できる場合に適用されます。

対象となる教育費

対象となる教育費は、学校等に直接支払う入学金・授業料・施設設備費などが最大1,500万円、学校以外の塾や習い事への支払いが最大500万円です。ただし、受贈者が30歳に達した時点で残額がある場合は、その残額に贈与税が課される点に注意が必要です。

この特例の適用期限は延長されてきましたが、今後の税制改正で終了する可能性もあるため、活用を検討される場合は早めの対応が望ましいでしょう。

住宅取得等資金の贈与特例

子や孫がマイホームを取得する際に、父母や祖父母から住宅取得等資金の贈与を受ける場合、一定額まで非課税となる特例があります。省エネ等住宅の場合は最大1,000万円、それ以外の住宅は最大500万円が非課税となります。

適用要件

この特例を受けるには、受贈者が贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上であること、合計所得金額が2,000万円以下であること、取得する住宅の床面積が40平方メートル以上240平方メートル以下であることなどの要件を満たす必要があります。

暦年贈与の110万円の基礎控除と併用が可能なため、住宅取得のタイミングで大きな金額を非課税で贈与できるメリットがあります。

生前贈与を成功させるためのポイント

生前贈与による節税を効果的に行うためには、いくつかのポイントを押さえておきましょう。まず、できるだけ早い段階から計画的に贈与を始めることが重要です。特に2024年改正により加算期間が7年に延長されたため、早期着手のメリットはさらに大きくなっています。

次に、贈与契約書の作成と振込記録の保管を徹底しましょう。税務調査で贈与が否認されないよう、証拠書類をしっかり整備しておくことが大切です。

さらに、相続税の基礎控除を考慮したうえで、相続財産全体の中で贈与のバランスを検討することも欠かせません。相続税がかからない範囲であれば、無理に生前贈与を行う必要はありません。

生前贈与は正しく行えば非常に効果的な節税手段ですが、制度の細かなルールや改正点を理解したうえで進める必要があります。ご不明な点がございましたら、相続の専門家への相談をおすすめします。当センターでは、お客様の状況に合わせた最適な生前贈与プランをご提案しております。

免責事項 本記事は2025年3月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。
この記事の監修
株式会社 相続サポートセンター
税理士法人みらいを中心とした「みらいグループ」の一員。東京都西東京市に拠点を置き、相続手続き・遺言書作成支援・遺産整理業務を専門に、年間多数のご相談に対応しています。税理士・行政書士・社労士が連携し、税務・法務・労務をワンストップでサポートします。
無料相談はこちら →

相続のことでお悩みですか?

専門スタッフが丁寧にお答えします。

お気軽にお電話ください

無料相談のお申し込み