基礎知識2025.03.01最終更新: 2025.03.01

相続手続きの最初のステップは、「誰が相続人なのか」を正確に確定させることです。相続人が一人でも欠けた状態で行った遺産分割協議は無効となり、すべてやり直しになってしまいます。この記事では、法定相続人の範囲と順位、代襲相続の仕組み、そして相続人調査の具体的な手順を詳しく解説します。

法定相続人とは

法定相続人とは、民法で定められた「被相続人(亡くなった方)の財産を相続する権利を持つ人」のことです。法定相続人になれるのは、被相続人の配偶者と一定の範囲の血族です。友人や知人など、法律上の親族関係がない人は法定相続人にはなれません(ただし、遺言書による遺贈は可能です)。

配偶者は常に相続人

被相続人の配偶者(夫または妻)は、常に相続人となります。他の相続人がいる場合でも、配偶者は必ず相続権を持ちます。ただし、法律上の婚姻関係が必要であり、内縁関係や事実婚の場合は法定相続人にはなれません。また、被相続人の死亡時点で既に離婚している元配偶者にも相続権はありません。

血族相続人の順位

配偶者以外の血族相続人には、以下の順位が定められています。上位の順位の相続人がいる場合、下位の順位の人は相続人にはなりません。

第1順位:子(直系卑属)

被相続人の子が第1順位の相続人です。実子だけでなく、養子も同じ順位で相続権を持ちます。嫡出子(婚姻関係にある夫婦間の子)と非嫡出子(婚姻外の子で認知されたもの)の相続分は同じです。胎児も、生きて生まれた場合は相続権を持ちます。

第2順位:父母(直系尊属)

被相続人に子がいない場合、父母が第2順位の相続人となります。父母の両方が存命であれば二人とも相続人です。父母が共に亡くなっている場合は、祖父母が相続人となります(より近い世代が優先)。実父母だけでなく、養父母も同じ順位で相続権を持ちます。

第3順位:兄弟姉妹

被相続人に子も父母もいない場合(または全員が相続放棄した場合)、兄弟姉妹が第3順位の相続人となります。異母兄弟・異父兄弟(半血の兄弟姉妹)は、全血の兄弟姉妹の2分の1の相続分となります。

代襲相続とは

代襲相続とは、本来相続人となるべき人が被相続人より先に亡くなっている場合に、その人の子が代わりに相続人となる制度です。

子の代襲相続

被相続人の子が先に亡くなっている場合、その子(被相続人の孫)が代襲相続人となります。孫も亡くなっている場合は、ひ孫が代襲相続人となり、理論上は何世代でも代襲が続きます(再代襲)。

兄弟姉妹の代襲相続

兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は、その子(被相続人の甥・姪)が代襲相続人となります。ただし、兄弟姉妹の場合は、甥・姪の一代限りで、再代襲は認められていません。

代襲相続が発生しないケース

相続放棄をした人の子は、代襲相続人にはなりません。相続放棄は「最初から相続人ではなかった」という効果を持つため、代襲の余地がないためです。一方、相続欠格や廃除により相続権を失った場合は、その子に代襲相続が発生します。

相続人調査の具体的な手順

相続人を正確に確定するためには、被相続人の戸籍を出生から死亡まですべて取得して調査する必要があります。以下に手順を説明します。

手順1:被相続人の戸籍を収集する

被相続人の最後の本籍地から、出生時の戸籍まで遡って、すべての戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍を取得します。これにより、被相続人の婚姻歴、子の有無、養子縁組の有無などが判明します。前婚での子や認知した子がいないかも、戸籍を通じて確認できます。

手順2:相続人の現在の戸籍を取得する

被相続人の戸籍から判明した相続人全員について、現在の戸籍謄本を取得します。相続人が存命であることの確認と、現在の氏名・住所の確認が目的です。相続人が既に亡くなっている場合は、代襲相続人がいないか確認するため、その方の戸籍も追加で取得します。

手順3:法定相続人を確定する

収集した戸籍をすべて読み込み、法定相続人を確定します。特に注意すべきは、前婚の子、認知した婚外子、養子、代襲相続人の存在です。これらを見落とすと、後の手続きがすべてやり直しになるため、慎重に確認します。

相続関係説明図の作成

相続人が確定したら、「相続関係説明図」を作成します。これは、被相続人と相続人の関係を一覧にした図表です。

相続関係説明図の記載事項

相続関係説明図には、被相続人の氏名・生年月日・死亡年月日・最後の住所・最後の本籍地、各相続人の氏名・生年月日・住所・被相続人との続柄を記載します。相続放棄をした人がいれば、その旨も記載します。

相続関係説明図の活用場面

相続関係説明図は、法務局に不動産の相続登記を申請する際に添付すると、登記完了後に原本の戸籍を返却してもらえます(原本還付)。また、金融機関での手続きや相続税の申告の際にも、相続関係を示す資料として活用できます。

相続人調査で注意すべきケース

養子がいるケース

養子は実子と同じ相続権を持ちます。ただし、相続税の基礎控除を計算する際の法定相続人の数には上限があり、実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までしかカウントされません。

行方不明の相続人がいるケース

相続人の中に行方不明者がいる場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てるか、失踪宣告の手続きを取る必要があります。行方不明の相続人を除外して遺産分割協議を行うことはできません。

相続人が多数いるケース

被相続人に子が多い場合や、代襲相続が発生している場合、相続人が10人以上になることもあります。特に、先代の相続が未処理のまま放置されていた不動産については、相続人が数十人に膨れ上がっていることもあり、調査と連絡に多大な時間を要します。

専門家への依頼をおすすめするケース

相続人調査は、戸籍を正確に読み解く知識と経験が必要な作業です。特に、古い改製原戸籍は手書きで記載されており、読み取りが困難な場合もあります。以下のようなケースでは、専門家に依頼することをおすすめします。

被相続人に前婚歴がある場合、養子縁組がある場合、相続人が多数いる場合、被相続人が高齢で戸籍が何度も改製されている場合、行方不明の相続人がいる場合などは、専門家のサポートが特に有効です。

当センターでは、戸籍の収集から相続人の確定、遺産分割協議書の作成まで、相続手続きをトータルでサポートしております。相続人の調査でお困りの方は、お気軽にご相談ください

免責事項 本記事は2025年3月時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の法律・税務アドバイスを行うものではありません。具体的なご相談は、専門家にお問い合わせください。
この記事の監修
株式会社 相続サポートセンター
税理士法人みらいを中心とした「みらいグループ」の一員。東京都西東京市に拠点を置き、相続手続き・遺言書作成支援・遺産整理業務を専門に、年間多数のご相談に対応しています。税理士・行政書士・社労士が連携し、税務・法務・労務をワンストップでサポートします。
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